緊急帰郷を決断「まず家族が一番」
最大震度7を記録した激しい地震が熊本県を襲ったことを受け、社会人野球の強豪・Honda熊本が、参加中であった「JABA広島大会」の決勝戦を棄権し、急遽熊本へ帰郷するという苦渋の決断を下しました。
試合・大会の結果以上に部員やスタッフ、そしてその家族の安全を最優先に考えた指揮官の判断に、球界全体から温かい支援と共感が寄せられています。
■ 延長サヨナラ勝ちで決勝進出も……試合中に悲報。渡辺監督「決勝を辞め熊本に帰る」
Honda熊本はJABA広島大会の予選リーグを1位で通過。
地震が発生した28日にも決勝トーナメント準決勝に臨み、日本製紙山口との激闘を延長10回サヨナラ勝ちで制して見事に29日の決勝進出を決めていました。
しかし、準決勝の最中に熊本で大地震が発生したとの報が入ります。
惨状を耳にした渡辺正健監督は、迷うことなく決勝戦の棄権を決断しました。
「熊本が大変なことになっていると聞いたので、決勝を辞め熊本に帰ることにしました」
試合終了後、チームはただちにバスで広島を出発。約7時間をかけて拠点である熊本県大津町へ戻り、現地に到着したのは深夜午前1時過ぎのことでした。
■ 「まず家族なので」練習を休止し地震対策へ。都市対抗へ向け気丈に前を向く
一夜明けた29日朝、渡辺監督はほとんど睡眠時間を取れないまま、チームの寮やグラウンドの点検に追われました。
幸いにも練習施設自体に深刻な壊滅的被害はなかったものの、スタッフや部員の中には実家が震度7の激震に見舞われた者もおり、緊迫した状況が続いています。
「(施設は)物が落ちたりはしていましたが大きな被害はありませんでした。
ただスタッフの中には実家が震度7を記録した所の人もいて被災している。まず家族なので、今週は練習は控え地震の対策に充てたい」
渡辺監督は疲弊した表情を見せつつも、愛する部員とご家族の身を案じ、まずは生活の安全確保と復旧作業に専念させる方針を示しました。
拠点がある大津町のHonda熊本工場(主に二輪車を製造)でも水漏れなどの被害が発生しており、操業を一時停止して点検作業が進められています。
チームは東京ドームで開幕する「第97回 都市対抗野球大会」への出場権をすでに獲得しており、本大会への影響も懸念されますが、指揮官は「影響が出ないように頑張ります」と気丈に前を向きました。
【編集後記:『野球ができる当たり前』への感謝。Honda熊本の決断と社会人野球の絆】
Honda熊本の皆様、ならびに熊本県内で被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
スコアラーや野球ファンとしての視点を離れ、一人の人間として、渡辺監督の「決勝棄権・即時帰郷」という決断には深く敬意を表せざるを得ません。どんなに大きな公式戦であっても、命や家族の安全以上に優先される勝利など存在しません。
「まず家族なので」と言い切り、勝利の権利を捨てて深夜の高速道路を走り切った采配こそ、まさにチームを率いる指揮官としての真のリーダーシップです。
社会人野球というカテゴリーは、地域社会や企業のバックアップ、そして家族の支えがあって初めて成り立つスポーツです。
熊本の皆様が大変な局面に立たされている今、グラウンドから一度離れて復旧活動や家族のケアに専念することは、極めて合理的であり正しい判断と言えます。
本大会が開幕する東京ドームのマウンドへ向け、調整日程や練習環境の確保など厳しい局面が続くことが予想されます。
しかし、こうした困難を乗り越えて大舞台へ立つチームの絆は、何ものにも代えがたい強いエネルギーへと変わるはずです。
被災地の早期復旧を心よりお祈りするとともに、胸に情熱を秘めて再び立ち上がるHonda熊本の勇姿を、虎渓三笑TVでも温かく、そして力強く追い続けてまいります。








