左のエース杉本壮志がリベンジの7回零封
第97回都市対抗野球大会近畿地区2次予選第3代表決定戦 日本製鉄瀬戸内1―0日本新薬
( 2026年6月23日 わかさスタジアム京都 )
アマチュア野球最高峰の舞台を目指す、第97回都市対抗野球大会の近畿地区2次予選。
緊迫した投手戦となった第3代表決定戦は、日本製鉄瀬戸内が1ー0で名門・日本新薬との大一番を制し、見事に3年連続35度目となる都市対抗野球大会(東京ドーム)への本戦出場を決めました。
前回登板の悔しさを力に変えた左のエース・杉本壮志投手(26)が7回4安打無失点と圧巻のゲームメイクを見せると、最後は守護神の鉄腕・川瀬航作投手(29)が完璧な火消し。
4回に相手のミスでもぎ取った「虎の子の1点」を完璧な完封リレーで守り抜き、近畿地区第3代表の座をガッチリと掴み取りました。
■ 4回1死三塁の絶体絶命ピンチを翻弄!杉本壮志が魅せたエースの「引き出し」
「長いイニングというよりは一人、一人という思いだった。結果的にゼロで抑えられて良かったです」
試合後、安堵の表情で振り返った杉本投手の言葉通り、この日は初回から完全にゾーンに入っていました。
立ち上がりをテンポよく3者凡退に打ち取ると、0ー0のまま迎えた4回裏、この試合唯一とも言える最大の修羅場が訪れます。
不運な形で1死三塁と一打先制のピンチを背負いましたが、マウンド上の左腕は至って冷静でした。
打席に迎えたのは、日本新薬の絶対的4番・浜田主将。
杉本投手は外角へのキレのあるカットボールを引っかけさせ、狙い通りファーストゴロに仕留めてホームを踏ませません。
続く5番・若林選手に対しては、カウント2ー2からこの日一番の威力を見せた内角へのクロスファイヤー(ストレート)をズバッと投げ込み、見逃し三振!
名門のクリーンアップを力と技でねじ伏せ、スコアボードに「0」を刻み込みました。
■ 「今回はお前が助ける番やぞ」指揮官のハッパに応えた極上の修正力
実は、杉本投手には期するものがありました。
前回先発した16日の日本生命戦では、4回4失点と打ち込まれて無念のノックアウト。
試合前、米田真樹監督からは「前回は打線に助けてもらった。今回はお前が助ける番やぞ」と熱いハッパをかけられてのマウンドだったのです。
「これで完全に気合が入った」というエースは、前回の反省を活かして抜群の制球力を披露。
ストレートの球速自体は130キロ台中盤ながら、カットボール、カーブ、そしてブレーキの効いたチェンジアップを絶妙に散らし、与えたフォアボールはわずかに「1」。
7回を4安打無失点という非の打ち所がないピッチングで、指揮官の期待に120点満点の結果で応えてみせました。
8回からは、今予選で圧倒的な安定感を誇るベテラン右腕・川瀬航作投手がマウンドへ。
勢いそのままに打者6人をパーフェクトに封じ込める圧巻の救援で、歓喜の瞬間を迎えました。
■ 指揮官の涙と「8強以上」への誓い
試合後、1ー1でも2ー1でもない「1ー0」という究極のシビれるゲームをモノにし、思わず涙を流した米田監督。
「今年はなかなかこういう(粘り勝つ)ゲームができなかったが、これを機に次につなげていってほしい。今年は特に勝ちたかった。選手たちが本当によく頑張ってくれた。ドームで暴れてほしいと思う」
熱くナインを称えた指揮官が掲げる本戦での目標は「8強以上」。
一昨年は初戦敗退、昨年は2回戦進出と、確実に東京ドームでの階段を一段ずつ上ってきた日本製鉄瀬戸内。
投打ともに成熟期を迎えたチームが、激戦区・近畿のプライドを胸に、大舞台での快進撃へ向けて牙を研ぎます。
【近畿地区2次予選】日本新薬が29イニングぶり得点から猛攻で4年ぶり39回目の東京ドームへ!
【編集後記:『130キロ台の芸術』。杉本壮志が体現した、スコアラーが最も嫌がる大人のピッチング】
日本製鉄瀬戸内の皆様、3年連続の都市対抗本戦出場、本当におめでとうございます!
これぞ社会人野球、これぞ近畿予選という、1球の重みが胃を突き刺すような極上の1ー0ゲームでした。
スコアラー目線でこの試合のMVP・杉本壮志投手のピッチングを紐解くと、全国のアマチュア投手、特に左投手に教科書として見せてあげたいほどの「インサイドワークの妙」がありました。
現代の野球界は「150キロを投げてナンボ」という風潮がありますが、杉本投手の直球は130キロ台中盤。
にもかかわらず、日本新薬の強力打線が手も足も出なかった理由は、徹底された「球速差」と「対角線の意識」にあります。
4回の1死三塁で、4番・浜田選手を打ち取った外角へのカットボール。
あそこで外の残像を強烈に意識させておいたからこそ、次の若林選手へのインコースの真っ直ぐが、打者体感で「145キロ以上」に感じられ、手が出ず見逃し三振になったわけです。
前回4失点した悔しさを1週間弱でここまで配球・修正してくるアジャスト能力の高さは、まさに社会人野球のエースの貫録そのものです。
そして8回・9回を完璧に締めた川瀬航投手の存在感。
今の瀬戸内の「杉本・川瀬航」の左右の二枚看板は、全国の強豪から見ても相当に厄介な盾となるでしょう。
一昨年、昨年とドームでの勝ち方を少しずつ覚えてきたチーム。
米田監督が男泣きしながら語った「目標は8強以上」という言葉は、この投手のクオリティと粘り強さがあれば十分に射程圏内です。
東京ドームの広いグラウンドで、再び瀬戸内旋風を巻き起こしてくれるのか。
虎渓三笑TVでも最注目で追いかけていきます!








