今秋のドラフト上位候補右腕の快投
第75回全日本大学野球選手権記念大会第4日 準々決勝 富士大2―3国学院大 ( 2026年6月11日 神宮 )
大学野球の日本一を争う「第75回全日本大学野球選手権」の準々決勝が行われ、北東北大学野球連盟代表の富士大は、東都の強豪・国学院大学と激突。中盤まで試合を完全に支配しながらも、終盤の「わずか1球」に泣き、2ー3で逆転負け。
惜しくもベスト4進出を逃しました。
敗れはしたものの、今秋のドラフト上位候補右腕の快投、そして3年生サウスポーの執念の継投など、全国の強豪を大いに驚かせる“質の高い野球”を神宮の舞台で見せつけました。
■ ドラ1候補・角田楓斗が国学院大を圧倒!2安打1失点、150キロ超のロケットスタート
試合は2回表、富士大打線が国学院大の先発を捉えて4安打を集中。
鮮やかに2点を先制し、主導権を握ります。
このリードを背に、マウンドに上がったのは初戦で毎回14奪三振の衝撃デビューを飾ったエース・角田楓斗投手(4年=東奥義塾)です。
この日もドラフト1位候補としてのポテンシャルを遺憾なく発揮。
150キロを軽く超える極上のストレートに、鋭く落ちるスプリット、キレ味抜群のスライダーを織り交ぜ、東都の精鋭が集まる国学院大打線を相手に5回までわずか2安打1失点。付け入る隙を与えない圧巻のゲームメイクを披露しました。
■ 3連投の左腕・古堅が8回1死までノーヒットの力投も…魔の8回裏
富士大ベンチは6回から、今大会3連投となるタフな左腕・古堅鈴之輔投手(3年=読谷)へスイッチ。
古堅投手は期待に応え、マウンドに上がってから8回1死にいたるまで、国学院大打線をノーヒットに抑え込む神がかったリリーフを見せます。
しかし2ー1のまま迎えた8回裏、ドラマはあまりにも残酷な形で訪れました。
1死から国学院大の3番・田井選手に痛恨のデッドボールを与えてしまい、走者を一塁に背負った場面。打席には、リーグ戦5本塁打を誇る相手の4番・石野選手。
一瞬の隙、古堅投手が投じた勝負の変化球がわずかに甘く入ったその「1球」を、相手の主砲は見逃してくれませんでした。
完璧に捉えられた打球は無情にもレフトスタンドへと消える逆転の2ランホームラン。
緊迫した投手戦の中で、一振りに懸けた東都の意地にひっくり返される形となりました。
■ 「追加点が奪えなかったこと。1球への執念の差」安田監督が語った課題と収穫
試合後、悔しい1点差の逆転負けを振り返った富士大の安田慎太郎監督は、次のように語りました。
「東都には勝てないなあ。(過去に)国学院に2度、青学さんにも負けた。きょうは投手というより、追加点が奪えなかったことがね。選手には『3点取れ』と言ったんだが。まだウチは1球で仕留められず、相手は仕留めたということです」
指揮官が語った通り、2回に2点を先制した後にあと一押し、相手を突き放す3点目が奪えなかったことが、結果的に終盤の1球の重みへと繋がってしまいました。
しかし、大会を通じて見せた富士大のポテンシャルの高さは、ネット裏に集結したNPBのスカウト陣の評価をさらに強固なものにしました。
先発した角田投手の卓越した球威はもちろん、3連投で強打者たちを翻弄した古堅投手の存在、そして今後が非常に楽しみな野手陣の台頭など、強烈なインパクトを神宮に残したことは間違いありません。
【全日本大学野球選手権】富士大のドラ1候補 右腕・角田楓斗が衝撃全国デビュー
【編集後記:東都の壁に跳ね返されるも、角田の現在地と富士大の底力は全国トップレベル】
富士大の皆様、本当に惜しい、悔しい1点差ゲームでした。
しかし、国学院大をここまで追い詰めた戦いぶりには、胸が熱くなりました。
スコアラー目線でこの試合を振り返ると、安田監督が仰った「ウチは1球で仕留められず、相手は仕留めた」という言葉に、一発勝負のトーナメント、そして『東都野球』の恐ろしさがすべて詰まっています。
5回まで2安打1失点と完璧だった角田投手をあえて6回からスイッチし、3連投の古堅投手をマウンドに送った継投策は、ここまでの古堅投手の仕上がりを見れば決して間違いではありませんでした。
現に8回1死までノーヒットに抑えていたわけですから、あの4番・石野選手の一振りが、国学院大の意地であり、見事だったと言うほかありません。
特筆すべきは、敗れたとはいえエース・角田楓斗投手の評価はこれでさらに上がったという点です。
全国大会の準々決勝、しかも国学院大という最高峰の相手に対して、150キロ超の直球とスプリットで堂々と渡り合ってみせた。
178センチの体躯から繰り出されるあの出力とスタミナ、マウンド捌きは、秋のドラフトで「競合1位」を確信させるに足るものでした。
2024年に1チーム6人同時指名という伝説を作った富士大ですが、その育成のDNAは、この角田投手や、国学院を苦しめた3年生の古堅投手、若き野手陣へと確実に引き継がれています。
この神宮で味わった「あと1点、あと1球」の悔しさは、必ず秋の地方リーグ、そして明治神宮大会でのリベンジの糧になるはずです。
さらに強くなって神宮へ帰ってくるであろう富士大の次なるストーリーを、虎渓三笑TVでも引き続き全力でプロファイリングし、追いかけていきます!





