ドラフト前線を賑わせる絶対的エースの歴史的快投
第75回全日本大学野球選手権記念大会第5日・準決勝 慶大5―2東北福祉大 ( 2026年6月13日 神宮 )
大学野球の頂点を決める「第75回全日本大学野球選手権」は神宮球場で準決勝2試合が行われ、慶應義塾大学(慶大)と関西大学(関大)がそれぞれ激闘を制し、決勝進出を決めました。
決勝のカードは、慶大が5年ぶり5度目、関大が54年ぶり3度目の大学日本一を狙う究極の決戦。
準決勝では、今秋のドラフト前線を賑わせる絶対的エースの歴史的快投と、これぞ一発勝負という劇的なサヨナラドラマが神宮を熱狂させました。
■ 大会記録に並ぶ電光石火の「8者連続三振」!慶大・渡辺和大が15Kで連覇王者を圧倒
慶大を決勝へと導いたのは、今秋のドラフト上位候補に挙がる最速151キロ左腕・渡辺和大(かずひろ)投手(4年)の歴史的な奪三振ショーでした。
連覇を狙う強豪・東北福祉大を相手に先発した渡辺投手は、公式戦自己最多となる15個の三振を奪う圧巻のピッチング。7回までノーヒットノーランに抑え込む異次元の投球を見せ、7回1/3をわずか1安打1失点という完璧な内容でマウンドを支配しました。
圧巻だったのは2回表の先頭打者から4回表2死までに記録した8者連続三振です。
これは2001年に筒井和也氏(愛知学院大〜元阪神)が樹立した大会記録に並ぶ、25年ぶりの大快挙となりました。
歴史に名を刻む快投にも、本人は「(記録は)気にしていなかった。一球一球丁寧に投げた結果」と、試合後も至って冷静に振り返りました。
■ プロ級の魔球「直球と同じ軌道のカットボール」に相手指揮官も脱脱帽
東北福祉大打線を完璧に翻弄したのが、15個の三振のうち5つの空振りを奪った「カットボール」です。
一般的なカットボールよりも曲がり幅が大きく、打者からはスライダーのようにも見えるこのボール。
渡辺投手はその秘密を次のように明かします。
「握りは(ストレートと)一緒で、指先の間で角度だけ変えている」
リリースの寸前までストレートと全く同じ軌道でベース盤に迫るため、打者が見極めるのは至難の業。
東北福祉大の山路哲生監督も「打者は真っすぐとスライダー(カットボール)が同じように見えると。
素晴らしいというよりプロの投手と対戦しているみたいだった」と、その異次元の球質に脱帽するしかありませんでした。
今春の東京六大学リーグでは、最優秀防御率、最多勝、最多奪三振、ベストナインの「投手4冠」に輝いた神宮の申し子。
早慶戦での3連投を含め、中2日での登板も涼しい顔でこなすタフさに、堀井哲也監督や上田誠コーチも「止めないと投げ続ける。昭和の投手」と、最大級の信頼と驚きを口にしています。
巨人・浅野翔吾選手と同期だった高松商高時代には届かなかった「日本一」の栄冠まであと1勝。
「(優勝は)実力だけではなくて、いい仲間といいチームがいないと獲れない。全身全霊で頑張ります」と、決勝でのフル回転を誓いました。
■ 関西大は4番の意地!山本峻輔の劇的サヨナラ打で国学院大を破る
もう一方の準決勝では、伝統の粘りを発揮した関西大がドラマを作りました。
東都大学野球連盟代表の強豪・国学院大を相手に激しいシーソーゲームを展開し、3ー3の同点で迎えた最終9回裏。
2死走者なしからチャンスを作ると、打席に4番・山本峻輔外野手(3年)。
執念で捉えた打球がサヨナラ適時打となり、4ー3で劇的な幕切れを演出しました。
関大にとっては、準優勝を果たした1991年以来、実に35年ぶりの決勝進出(※選手権優勝となれば54年ぶり)という歴史的な勝利となりました。
【編集後記:筒井和也に並んだ渡辺のカットボールの球質と、54年前の『再現』となる至高の決勝戦】
神宮に駆けつけたスカウト陣のスピードガンや評価シートが、ひっくり返るような衝撃の準決勝でしたね!
慶應義塾大・渡辺和大投手の「8者連続奪三振」は、まさに歴史の目撃者となった気分です。
スコアラー目線で渡辺投手のピッチングを紐解くと、やはり東北福祉大の山路監督が脱帽した「ベース盤の手前までストレートと同じ軌道で見えるカットボール」のコマンド能力が恐ろしく高いです。
一般的なサウスポーのカットボールは、右打者の内角へ小さく食い込ませるグラウンドボール(内野ゴロ)を打たせる球になりがちですが、渡辺投手のそれは球速を維持したまま、指先の絶妙な加減でスライダー並みの横幅を持たせています。
だからこそ、打者はストレートのタイミングで完全に空を切ってしまう。
中2日での登板でありながらこの出力を維持できるスタミナも含め、高松商時代に浅野選手らと甲子園を沸かせた大舞台での強さが、大学4年目で完全に極まりました。
そして、その慶大に挑むのが、4番・山本峻輔選手の劇的サヨナラ打で上がってきた関西大。
大商大の春山選手らの活躍も目立ちますが、この大一番でしっかりと4番の山本選手が仕事を果たすあたり、今年の関大の勝負強さは本物です。
実は、この「慶大vs関大」という決勝のカードは、関大が前回優勝を果たした1972年(昭和47年)とまったく同じシチュエーション。
当時はあの山口高志投手(元阪急)が神懸かり的な快速球で慶大をねじ伏せましたが、その山口高志氏が現在アドバイザーとして関大の投手陣を指導しているというのも、運命的な歴史のロマンを感じずにはいられません。
タフ極まる「昭和の投手」渡辺和大投手を擁する陸の王者・慶大か、それともレジェンドの遺伝子を受け継ぎ、勢いに乗る関大か。
大学野球の歴史に刻まれる最終決戦のすべてを、虎渓三笑TVでもどこよりも熱く追いかけていきます!





