入社二年目のサウスポー
JABA四国大会予選リーグ JR九州13―1四国銀行 ( 2026年4月8日 春野 )
JR九州が四国銀行を13-1の7回コールドで圧倒。
予選リーグを2勝1分けの首位で終え、9日からの決勝トーナメント進出を決めました。
この重要な一戦の先発を託されたのは、入社2年目のサウスポー・**稲山拓峰(いなやま・たくみ)投手(23=桃山学院大)**でした。
■ 「自己採点」は厳しく。勝利のために腕を振る
5回3安打1失点で勝利投手となった稲山投手ですが、試合後の言葉には一切の浮ついた様子はありませんでした。
- 徹底した役割意識: 「内容はコントロールに苦しんだ」と厳しく振り返りつつも、初回をわずか10球で三者凡退に。リズムの良い投球が、打線の大量援護を呼び込みました。
- 「勝てるピッチング」へのこだわり: 昨秋の日本選手権予選、好投しながらも一つのミスから崩れて敗れた経験が、彼を「チームの勝利が最優先」という境地へ押し上げました。
■ 雑草魂。小園健太(DeNA)たちの背中を追って
稲山投手のキャリアは、決してエリート街道ではありませんでした。
- 市和歌山時代: 1学年下に小園健太投手(現DeNA)らがいる中、エースナンバーを掴めず、公式戦登板はわずか3試合。
- 桃山学院大時代: 阪神大学リーグ2部という、中央球界からは決して目立たない場所で自分を磨き、JR九州という強豪の目に留まるまで成長を遂げました。
「あの頃の悔しさは今もある。彼らを超えていきたい」 そのハングリー精神こそが、192cmの視界を持つ大型右腕・小島投手(びわこ成蹊スポーツ大)同様、遅咲きの才能を開花させるエネルギーとなっています。
【大学野球】びわこ大・小島一哲、192cmの長身から149キロ!高校同期・山田陽翔を追う「未完の大器」
【編集後記:組織が求める『動じない心』の作り方】
組織論の視点で見れば、稲山投手のオフの取り組みは非常に興味深いものです。
彼はミスから崩れた昨秋の反省から、今オフ「2日に1回、100球以上」という過酷な投げ込みを自らに課しました。
これは単なる技術向上ではなく、**「何事にも動じない心」というメンタル・レジリエンス(復元力)**を、圧倒的な練習量によって構築しようとする試みです。
「良いピッチング」を求めるのは個人の美学ですが、「勝てるピッチング」を追求するのは組織人としての責任感です。
かつて控えだった男が、今や強豪JR九州の命運を握るマウンドで「0に抑えることだけを意識する」と語る。その覚悟こそが、チームを頂点へと押し上げる原動力になります。
9日からの決勝トーナメント。
かつてのライバルたちの背中を追い越し、社会人の舞台で「勝てるエース」へと進化を遂げる稲山投手の快投に注目しましょう。








