愛工大名電を破り名古屋の伝統校が聖地復帰
第108回全国高校野球選手権愛知大会 決勝 享栄4―1愛工大名電
( 2026年7月28日 バンテリンドームナゴヤ )
夏の甲子園出場をかけた激戦区・愛知大会の決勝がバンテリンドーム ナゴヤで行われ、名門・享栄が強豪・愛工大名電を4ー1で破り、2000年の選抜以来、夏としては1995年以来31年ぶり9度目となる念願の甲子園出場を掴み取りました!
マウンド上で歓喜の輪が広がると、2018年の監督就任からチームを率いてきた大藤敏行監督(64)の目には涙が溢れ出しました。
「泣けてきた。もう2度と甲子園に行けないのかなと思った時もあった。3度ほど甲子園に手をかけたことがあった(準優勝など)。振り返れば、8年はあっという間だった。苦しいことばかりでね」
かつて母校・中京大中京を2009年夏の全国優勝に導き、U-18日本代表コーチなども歴任した名将が、ライバル校である享栄の指揮官に就任するという異例の人事から8年。
幾多の壁を乗り越え、ついに「古豪復活」の扉をこじ開けました。
大藤監督自身にとっても、中京大中京時代の2010年夏以来、実に16年ぶりの甲子園帰還となります。
■ 80キロ台の超スローカーブ!背番号11のサイド右腕・上江滝拓未が101球1失点完投
この愛知を制する大一番で先発マウンドを託されたのは、背番号11を背負う横手投げ(サイドスロー)右腕・上江滝(うえたき)拓未投手(3年)でした。
前日の準決勝で左足股関節がつり途中降板しており、身体のコンディションが心配されましたが、「一度投げたら慣れました」と驚異の修正力を見せます。
初回こそ先頭打者に初球の直球を二塁打にされ、犠飛で1点を先制されますが、ここからのバッテリーの観察眼と対応力が光りました。
相手が「直球狙い」だと察知すると、捕手の大森皓太選手(3年)と話し合い、変化球主体の配球へと一気にシフトチェンジ。
90キロ台、時には80キロ台を計測する驚愕の超スローカーブに、スプリットやチェンジアップを巧みに交え、130キロ台後半のストレートとの圧倒的な緩急差で愛工大名電打線のタイミングを完全に狂わせました。
2回以降はスコアボードに「0」を並べ続け、終わってみればわずか101球、5安打1失点という省エネ&完璧な完投劇を演じてみせました。
■ 4回の集中打で逆転!主将・早川が誓う「もう一度、監督を日本一に」
1点を追う享栄打線は4回裏、四球を足がかりに1死二塁とすると、3番・森迫煌斗選手(3年)のライトオーバーとなる適時二塁打で同点!
さらに4番・坂本亮太選手(3年)のライト前適時打ですぐさま勝ち越しに成功します。
5回には藤井陽斗選手(3年)の適時二塁打、6回にも菅沼琥太朗選手(2年)のタイムリーで加点し、着実にリードを広げました。
4ー1で迎えた最終9回、無死一、二塁と一発が出れば同点という絶体絶命のピンチを迎えますが、大藤監督が伝令で授けたアドバイスは「勝ち負けにこだわっては足元をすくわれる。何に集中するのか」というメンタルのリセットでした。
落ち着きを取り戻した上江滝投手は、サードゴロ三封、セカンドゴロ併殺打で力強くゲームセット。最高潮の歓喜を呼び込みました。
主将の早川来輝選手(3年)は、指揮官への恩返しと全国舞台への抱負を力強く口にしました。
「大藤先生を甲子園に連れていくことができました。でも甲子園にいくだけじゃない。もう一度、日本一の監督にしたいと思っています」
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【編集後記:『80キロ台スローカーブ』と配球の引き算。享栄・上江滝に見るピッチングデザインの極意】
享栄高校の皆様、31年ぶりとなる夏の甲子園出場、ならびに愛知大会優勝、誠におめでとうございます!
バンテリンドーム ナゴヤに響き渡った歓声と、大藤監督の涙には、愛知の高校野球ファンならずとも胸が熱くなるものがありました。
スコアラー目線でこの決勝戦をプロファイリングすると、背番号11の上江滝拓未投手と大森皓太捕手の「配球の切り替え(アジャスト力)」が見事というほかありません。
愛工大名電のような強打のチームに対し、初回の1球目で「相手がストレートの軌道にヤマを張っている」と瞬時に見抜き、2回から「80〜90キロ台のスローカーブ」を解禁した点です。
球速差にして約50キロ近い超遅球を効果的に見せることで、相手打者の目線とステップのタイミングを徹底的に破壊しました。
101球という少ない球数で完投できたのは、力で押すのではなく、打者の心理と物理的なタイミングを外した「引き算のピッチングデザイン」が完勝していた証拠です。
そして大藤監督が語った「今年は一番僕らしいチーム。心が通じるチーム」という言葉。
長年指導者を務め、全国制覇も経験してきた名将がたどり着いたチーム像が、こうして愛知の頂点という最高の結果で結実したことは、甲子園の本戦に向けても極めて大きな強みとなります。
愛知の長いトンネルを抜け、全国の舞台へと返り咲く享栄。
名将・大藤監督と一丸となった選手たちが、甲子園でどんな旋風を起こすのか。
地元・名古屋の地からも、虎渓三笑TVでどこよりも熱く、深く追いかけていきます!





