10年目の最年長エース・臼井浩が血豆を恐れぬ3安打12Kの魂の完封劇
第97回都市対抗野球大会東京都2次予選第3代表決定戦 東京ガス1―0NTT東日本 ( 2026年7月1日 神宮 )
アマチュア野球最高峰の舞台を目指す、第97回都市対抗野球大会の東京都2次予選。
緊迫の第3代表決定戦は、東京ガスが強豪・NTT東日本との息詰まる投手戦を1ー0で制し、見事に6年連続27度目となる都市対抗野球大会(東京ドーム)への本戦出場を決めました。
大一番のマウンドでこれ以上ない輝きを放ったのは、入社10年目を迎えたチーム最年長エースの臼井浩(ひろし)投手です。
5回裏に味方が挙げた「虎の子の1点」を最後まで1人で守り抜き、3安打12奪三振という圧巻の完封勝利。
ベテランの意地と誇りが、東京ガスの意地をドームへと繋ぎました。
■ 右手に血豆、伝家の宝刀「フォーク」連発でNTT東日本を翻弄
「自分の状態もすごく良かったですし、キャッチャーの越川もしっかり相手のデータを見ながら配球してくれた。
今年はうまく歯車がかみ合わない状態が多かったですが、代表決定戦で一番の投球ができました」
試合後、充実の表情で振り返った臼井投手。
この日のマウンドは、まさに彼の代名詞である「伝家の宝刀・フォークボール」が神宮の杜で冴え渡っていました。
女房役の越川捕手の冷静なデータ分析に基づき、序盤からフォークを多投する強気の組み立てを披露。
本人が「横振りになっていた」と振り返る初回こそ2死一、二塁のピンチを背負ったものの、ここを気迫で切り抜けると即座に修正。
縦振りのシャープなフォームを取り戻した2回以降の8イニングは、なんとそのうち6イニングで3者凡退に打ち取るという異次元の支配力を見せつけました。
「握力を消費するボールなので不安もあったが、何とか最後まで持ってくれて良かった」
試合後、右手の中指には血豆ができていましたが、それはまさに指先に100%の力が伝わっていた勲章そのもの。
フォークへのマークが強くなった隙を見逃さず、後半は伸びのあるストレートも抜群の威力を発揮し、強打を誇るNTT東日本打線から12個の三振を奪ってみせました。
■ 「正直焦った」初戦5失点からの大アジャスト。前日の練習で掴んだ“左足のヒント”
実は、この予選で臼井投手は大きな壁にぶつかっていました。
初戦の先発を託されたJR東日本戦では、7回10安打5失点(自責4)と打ち込まれ敗戦。
「初戦を終えた時点では正直焦りました」と吐露した通り、そこから約2週間は試行錯誤の日々が続きました。
そんなエースが浮上のきっかけを掴んだのは、決戦前日、6月30日の練習中でした。
これまでは軸足(右足)の押し込みを強く意識していましたが、それが原因で「腰が落ち、アーム(腕だけ)で振る状態」になっていることに気づいたのです。
そこで、踏み出す側である「左足の使い方」に意識をシフト。
「左足で飛び上がるようなイメージ」でステップしたことで、本来の理想的なコンビネーションと球威が劇的に復活。
本番で見事なリベンジへと繋げてみせました。
■ 5年ぶりの「日本一」へ。最年長右腕が語る覚悟
試合後、愛弟子の完封劇に松田孝仁監督も大きな手応えを口にしました。
「苦しい試合になることをイメージしながら神宮に乗り込んできました。ピッチャー陣は予選で失点が多かったですが、しっかり下半身を使って腕を振るという取り組みを継続してくれた。課題に対して行動を起こせるようになったことこそが、このチームの成長です」
ようやく掴んだ東京ドームへの切符。
しかし、10年目のベテラン右腕の視線は、すでにその先を見据えています。
「まだ本戦まで2カ月近くある。僕だけじゃ勝てないですし、他のピッチャーも含めてもう一つレベルアップして優勝できるように頑張りたい」
目指すは、2021年以来、5年ぶり2度目となる「黒獅子旗(都市対抗優勝)」。
最年長エースが背中で示した覚悟とともに、東京ガスが再び日本の頂点へと突き進みます。
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【編集後記:『前日アジャスト』の衝撃。臼井浩が証明したベテランの修正力と東ガスのDNA】
東京ガスの皆様、6年連続の東京ドーム本戦出場、本当におめでとうございます!
NTT東日本との緊迫した第3代表決定戦、1点を守り切る1ー0の攻防は、これぞ東京予選のクオリティという素晴らしいゲームでした。
スコアラー目線でこの試合を振り返ると、やはり臼井浩投手の「驚異的な修正力」に脱帽するほかありません。
初戦でJR東日本に5失点したところから、わずか2週間、しかも前日のピッチング練習で「左足を飛び上がるイメージ」に変えてフォームのメカニズムをガチッとハメ直してくる。
口で言うのは簡単ですが、10年目という実績のあるベテランが、大一番の直前にステップの感覚を大胆に変えるのは相当な勇気と高い技術(再現性)が必要です。
腰の落ち込みを防ぎ、高い位置からフォークを縦に振れたからこそ、右手の中指に血豆ができるほどの猛烈なスピンがかかり、12Kという圧巻の数字に繋がりました。
また、大学4年でレギュラーを掴んだという苦労人の越川捕手が、臼井投手のフォークのキレを見抜いて序盤から大胆に配球したインサイドワークも見事でした。
松田監督が「臨機応変で、まだまだ成長段階」と期待を寄せるのも頷けます。
2021年の都市対抗で日本一の歓喜を味わっている東京ガスですが、あの時の強い東ガスが帰ってきたな、と思わせるのに十分な予選の戦いぶりでした。
臼井投手を中心に、本戦までの2ヶ月でさらに投手陣の厚みが増してくれば、5年ぶりの黒獅子旗奪還は十分に現実的な目標です。
東京ドームの舞台で、再びあの「縦振りの魔球」が炸裂するのか。
東京ガスの熱い本戦での進撃を、虎渓三笑TVでも最注目でプロファイリングしていきます!







