天覧試合が行われるのは1994年春以来、実に32年ぶり3度目
東京六大学野球最終週第2日 早大5―4慶大 ( 2026年5月31日 神宮 )
これぞ、101年続く東京六大学野球の歴史と伝統。
そして「令和の天覧試合」にふさわしい、神がかった結末が神宮球場で待ち受けていました。
伝統の早慶戦2回戦が31日に行われ、天皇陛下と長女愛子さまが貴賓席で御観戦される中、早稲田大学(早大)が9回裏に2点を奪う怒涛の猛反撃を見せ、5ー4で慶應義塾大学(慶大)に逆転サヨナラ勝利を収めました。
天覧試合が行われるのは1994年春以来、実に32年ぶり3度目。
今季最多となる2万9,500人の大観衆が、この歴史的な一戦の目撃者となりました。
■ 劇的すぎる幕切れ!慶大の絶対的エースから2年生・徳丸がサヨナラ打
勝てばリーグ優勝が決まる慶大は、4ー3と1点リードで迎えた最終9回裏、前日の1回戦で7回1失点と好投した今秋のドラフト上位候補サウスポー・渡辺和大投手(4年)を連投でマウンドへ送り、完全に試合を締めにかかりました。
しかし、歴史の神様は早大に微笑みます。
早大は死に物狂いでチャンスを作ると、まずは犠牲フライを放ち土壇場で4ー4の同点に。
なおも2死一、三塁と一打サヨナラの場面で、打席には5番に座る2年生の徳丸選手。
渡辺投手の渾身のボールを捉えた打球がセンター前へ抜けた瞬間、神宮球場はスタンド総立ちの大歓声と地鳴りのような拍手に包まれました。
この日3安打2打点の大暴れとなった若きヒーローは、「もう最高でした。特別な試合でのサヨナラ打は、自分の人生の中でも特別なこと」と、興奮を隠せない様子で目を輝かせました。
■ 午後2時5分、水を打ったように静まり返った神宮に、天皇陛下と愛子さま御入室
試合は4回表が終わった午後2時5分に、一時中断の時間を迎えました。
両校のナインがマウンド付近に一列に整列し、スタンドを埋め尽くした2万9,500人の観衆も一斉にバックネット裏の貴賓席へと視線を向けます。
それまでお祭りのようだった神宮が静寂に包まれた直後、天皇陛下と長女愛子さまが貴賓席に入室されると、球場全体が割れんばかりのどよめきと温かい拍手に包まれました。
両校の選手たちは、陛下の御前で一歩も引かないハツラツとしたプレーを披露し続けました。
■ 恩師・石井連蔵監督の“32年前のリベンジ”を果たした小宮山監督
1925年の連盟結成から数えて101年。
六大学の長い歴史の中で、天覧試合が行われたのは過去3回すべてがこの「早慶戦」です。
前回(1994年春)の天覧試合では、慶大に高木大成氏(元西武)や、後にリーグ記録の通算23本塁打を放つ高橋由伸氏(元巨人監督)らが出場し、5ー2で慶大が勝利。
当時、辛酸をなめた早大を率いていたのが、現在の小宮山悟監督の恩師である名将・石井連蔵監督でした。
小宮山監督にとっては、32年の時を超えて恩師の無念を晴らすドラマチックなリベンジにもなりました。
小宮山監督は試合前、選手たちに「歴史を含めてとんでもないこと。この天覧試合にいたことが一族の自慢になる」と伝えたと言います。
かつて、太平洋戦争中の1943年に行われた“最後の早慶戦”の記憶をOBから直接聞いてきた小宮山監督だからこそ、この平和な時代に陛下の御前で野球ができることの重みを誰よりも理解していました。
激闘を制した教え子たちに対し、「必死に陛下の前でハツラツとやってくれました」と最上級の賛辞を贈りました。
■ 勝負の行方は3回戦へ。運命の結末へ一歩も引かぬ両雄
この早大の執念の勝利により、対戦成績は1勝1敗のタイとなり、決着は1日の3回戦へと持ち越されることになりました。
慶大が勝てば慶大の優勝、早大が勝てば明治大学の優勝が決まるという、他校をも巻き込んだ究極のシチュエーション。小宮山監督は「早慶戦は勝たないと一生後悔するイベント。
明日また、学生たちが意地を見せてくれると思います」と語り、決戦を見据えました。
【東京六大学野球】慶應義塾大ドラ1候補・渡辺和大が3連投8回11K無失点の神熱投で2冠
【編集後記:歴史の重みと、令和に刻まれた『伝統の一戦』の美しさ】
これぞ野球の原点であり、最高峰のドラマを見せてもらいました。
神宮球場に足を運ばれたファン、そして画面の前で観戦されたすべての野球ファンが震えた一戦だったのではないでしょうか。
32年ぶりの天覧試合。
しかも9回裏に、勝てば優勝が決まる慶大が絶対的エースの渡辺投手を投入し、そこから早大がひっくり返してサヨナラ勝ち。
台本があってもここまで完璧なストーリーは書けません。
サヨナラ打を放った2年生の徳丸選手、この異様なプレッシャーと大大観衆、そして御高覧されている陛下の前で一振りに全てを懸けた精神力には、ただただ拍手を送るしかありません。
小宮山監督が語った「歴史の重み」という言葉には、非常に深いものがあります。
戦時中、野球が敵性スポーツとされながらも、命懸けでバットを振り、タスキを繋いだ先輩たちがいたからこそ、101年目の今、こうして「令和の天覧試合」が実現している。
両校の選手たちのハツラツとしたプレーの根底には、その伝統へのリスペクトが確実に流れていました。
前回の天覧試合で高橋由伸さんたちが躍動したように、今回の試合に出場した徳丸選手や渡辺投手たちの名前も、今後の大学野球史に伝説として語り継がれることは間違いありません。
1勝1敗のタイとなり、泣いても笑っても次が春季リーグの最終戦。
早慶のプライド、そして明大の運命をも背負った神宮のラストゲーム。
虎渓三笑TVでも、この歴史的なシーズンの結末を最後まで全力で見届けていきます!






