兵庫勢が4季連続で優勝
高校野球の春季近畿地区大会は決勝戦が行われ、兵庫代表の報徳学園が和歌山代表の智弁和歌山との激闘を制し、2010年以来16年ぶり2度目となる春の近畿王座に輝きました。
これで近畿大会は、2024年秋の東洋大姫路の優勝から数えて、なんと兵庫勢が4季連続で優勝を果たすという、改めて兵庫のレベルの高さを見せつける結果となりました。
両校合わせて28安打21得点が飛び出した歴史的な乱打戦。
そのクライマックスで、報徳学園のキャプテンがこれ以上ないドラマチックな一撃を放ちました。
■ 9回1死満塁、試合を決定づける高校通算2本目の一発は「値千金のグランドスラム」!
「全員がつないでくれたことに感謝です」
試合後、興奮冷めやらぬ表情で語ったのは、報徳学園の主将を務める8番・山田瑛太選手(3年)です。
7ー5と報徳学園が2点リードで迎えた最終9回表、1死満塁という絶好のチャンスで打席が巡ってきました。
スタンドからの大声援を背に受けて振り抜いた打球は、綺麗な放物線を描いてレフトスタンドへと吸い込まれる、衝撃の左越え満塁ホームラン!
山田選手にとってこれが高校通算2本目という貴重なアーチが、土壇場でチームに決定的な4点をもたらしました。
実はこの裏の9回裏、猛る智弁和歌山打線が驚異の粘りを見せ、一挙に5得点を挙げて1点差にまで詰め寄るという大波乱の展開に。
終わってみれば、山田選手のこの満塁弾がなければひっくり返されていたという、まさに勝敗を分けた文字通りの「神懸かり的な一発」となりました。
■ 危機感が生んだ指揮官の決断――「主将・役職をすべて撤廃」した1ヶ月間
この劇的な頂点への道のりの裏には、大角健二監督の下した異例の決断と、チームの「主将不在の1ヶ月間」という試練がありました。
今春、3月の練習試合では思うような結果が出ず、敗戦が続いていた報徳学園。
チームの中に、どこか「キャプテンの山田になんとかしてもらおう」という、山田選手の高いキャプテンシーに依存する甘えの空気感があることを、大角監督は見逃しませんでした。
そこで指揮官は、「全員が主将のつもりで動け」と命じ、キャプテンをはじめとするチーム内すべての役職を一時的に撤廃するという大胆なメスを入れました。
役職を奪われた山田選手は、春季大会が開幕してからも、試合中でさえ静かに戦況を見つめる日々を送ることになります。
■ 4月に主将復帰。全員で助け合う「真の結束力」で夏へ加速!
この荒治療が、眠っていた名門の底力を呼び覚ましました。
頼るべき「看板」を失ったことで、選手一人ひとりに「自分がチームを引っ張るんだ」という当事者意識が芽生え、グラウンド内外で互いに助け合う最高の土壌が出来上がっていきました。
チームの劇的な変化を見届けた大角監督は、4月中に山田選手を再び主将の座へと復帰させます。
真の自立を果たした仲間たちに囲まれ、山田選手自身も「(お互いに意見を言い合えて)凄くやりやすいチームになった」と、手応えを実感。
この1ヶ月間で培われた強固な結束力こそが、智弁和歌山との息詰まる乱打戦を耐え抜き、近畿の頂点へと駆け上がる原動力となったのです。
【春季近畿大会】大波乱!立命館宇治が20安打の履正社を撃破、智弁和歌山 劇的な逆転3ランで初戦突破
【編集後記:『全員がキャプテン』という大角マジック。報徳学園が手に入れた最強の精神力】
報徳学園の皆様、16年ぶりの春季近畿大会優勝、本当におめでとうございます!
智弁和歌山の驚異的な追い上げも含め、決勝戦にふさわしい、一瞬も目が離せない大激戦でした。
それにしても、大角健二監督の「すべての役職を撤廃する」というアプローチには深く唸らされました。
高校野球において、キャプテンという存在はチームの精神的支柱ですが、時に周りがその存在に寄りかかってしまうのはよくあるケースです。
あえてその支柱を取り除くことで、全員の心に火をつけ、自立を促した。
この1ヶ月間の「主将不在」という時間がなければ、9回裏の智弁和歌山の凄まじい猛追の前に、チームはパニックになって自滅していたかもしれません。
そんな逆境を乗り越えて真のリーダーとして復帰した山田瑛太選手が、9回に高校通算2本目となる満塁ホームランを放つあたり、野球の神様は本当によく見ているなと感じます。
まさにキャプテンとしての執念、そして仲間への感謝が乗り移った見事な一発でした。
これで秋の東洋大姫路から続く「近畿大会・兵庫勢の4季連続優勝」という大記録も達成され、改めて兵庫の勢力図の恐ろしさが浮き彫りになりました。
この最高の形で掴んだ近畿王者の称号と、何よりも「全員で戦う」という強固なマインドは、間もなく開幕する夏の兵庫大会において、他校にとってこれ以上ない脅威となります。
激戦区・兵庫を勝ち抜き、聖地・甲子園で再び報徳旋風を巻き起こすか。
夏の主役候補筆頭となった報徳学園の動向を、虎渓三笑TVでもどこよりも熱く追いかけていきます!








