「球児」の再現なるか?
高校野球春季四国大会1回戦 高知商5―3阿南光 ( 2026年4月25日 むつみスタジアム )
高知商のプロ注目右腕・北添颯志(そうし)投手(3年)が、今春の選抜ベスト8・阿南光を相手に5-3の完投勝利を挙げ、その実力を証明しました。
■ 「調子が悪くても勝つ」― エースの真髄と守備への信頼
最速148キロを誇る北添投手ですが、この日は本人曰く「球自体は良くなかった」と、直球は143キロに留まりました。
しかし、そこからの修正能力こそが彼の真骨頂です。
- 変化球主体の組み直し: 鋭く落ちるスプリットを多投し、8つの三振を奪取。
- フォロワーシップと信頼: 「信頼できる守備陣がいる」と語り、四死球をわずか「1」に抑えて打たせて取る投球にシフト。組織としての連携で勝利を掴み取りました。
■ 藤川球児の背中を追って― 28年ぶりの悲願
北添投手が高知商を選んだ理由は、明確です。
「明徳義塾や高知中央を倒したい」という強い志、そして阪神・藤川球児監督の母校であること。
同校から高卒で直接プロ指名を受けたのは、1998年の藤川球児氏(阪神1位)が最後。
北添投手は「プロ志望届を出すつもりです」と断言し、偉大な大先輩以来、28年ぶりとなる「高知商からの直接プロ入り」という高い目標を掲げています。
【編集後記:組織の『系譜』を繋ぐということ】
組織論の視点から見れば、高知商における北添投手の存在は、単なる「エース」以上の意味を持ちます。それは「伝統の継承と再定義」です。
1998年以来、途絶えていた「高知商から直接プロへ」という道。
藤川球児という象徴的なリーダーが現在プロの世界でタクトを振るう中、その背中を追う若者が現れることは、学校という組織全体の士気を飛躍的に高めます。
特に印象的なのは、北添投手の「打たせて取る」という判断です。
個人の「148キロ」という数字に固執せず、勝負の現場で「守備を信頼して勝つ」という選択ができる冷静さ。
これは、自分の力を誇示するだけのリーダーではなく、組織全体の力を最大化できるリーダーの資質です。
かつて火の玉ストレートで時代を築いた先達の母校で、現代の本格派右腕が新たな歴史を刻もうとしています。
28年ぶりの快挙へ。北添颯志という名前を、今のうちに心に刻んでおいて損はありません。





