【都市対抗東海予選】トヨタ自動車の2年目右腕・高尾響、最速150Kで初のドーム予選へ

4季連続で甲子園の土を踏んだ百戦錬磨の右腕

アマチュア野球最高峰の戦い、第97回都市対抗野球大会東海地区2次予選(岡崎レッドダイヤモンドスタジアム)が5月28日に開幕しました。

12年連続28度目の東京ドーム切符を狙う絶対王者・トヨタ自動車は、30日の初戦でジェイプロジェクトと対戦します。

今回は高卒2年目を迎えた元・甲子園の申し子、高尾響(ひびき)投手(20)をクローズアップ。

名門・広陵高(広島)で1年夏からエースを張り、4季連続で甲子園の土を踏んだ百戦錬磨の右腕が、社会人の舞台でさらなる進化を遂げています。

■ 驚きの血液検査結果――“緊張しない男”がピンチを妄想してマウンドへ

高尾投手最大の武器は、高卒2年目とは思えないそのマインドにあります。

自身の長所を問われると、技術よりもまず内面に言及してくれました。

「どんな場面でも冷静に投げられるのが自分の長所。流れをやらない、隙を見せないことを心がけています」

実は高尾投手、高校時代の甲子園という大舞台ですら「緊張しなかった」と言い切る驚異の強心臓の持ち主。

しかし今季、その精神面に科学的なアプローチから新たなスパイスを加えました。

「今は試合の中で緊張することも大事だという風に分かってきて。登板前、わざと緊張するようにしてマウンドへ向かっています」

きっかけは昨秋、チーム内で行った血液検査でした。

試合中の高尾投手の血糖値が、通常よりも低いことが判明したのです。一般的には、試合前に緊張することで血糖値が上がり、アドレナリンが放出されてパフォーマンスが向上します。

しかし高尾投手の場合、全く緊張しないために血糖値が上がらず、アドレナリンも出にくい状態だったことが分かりました。

「アドレナリンが出た方がパフォーマンスも上がる」と気づいた今季は、登板前にあえてピンチの場面を脳内で想像し、意図的に気持ちを昂ぶらせて緊張状態を作るという、彼ならではのハイレベルなメンタルコントロールを実践しています。

■ 体脂肪3〜4%ダウン!肉体改造で自己最速150キロを計測

昨季のルーキーイヤーは徹底的な体づくりに専念し、体重を4キロ増量(78キロ)させた高尾投手。

しかし、オフシーズンからは一転して「減量」へと舵を切りました。

「体を大きくしたかったのですが、自分の中で動きが良くないという感覚がありました」

食事面に細心の注意を払い、20%あった体脂肪率を16〜17%まで落とすことに成功。

骨格筋量は維持したまま、体重を元の74キロへと戻しました。

この肉体改造によって体のキレが劇的に向上。JABA東海地区春季大会の三菱自動車岡崎戦では、自己最速を更新する150キロを叩き出し、取り組みの正しさを証明してみせました。

今春のJABA岡山大会(シティライト岡山戦)で主要大会デビューを果たすと、1回1/3を1安打無失点と好投。

「しっくり来てなかったですが、それなりに抑えることはできた」と振り返る通り、最大55センチの落差を誇るカーブと、ホップ成分50センチを誇る伸びのある直球を武器に、高低を広く使った社会人仕様のピッチングを確立しつつあります。

■ 「泰然自若」初の都市対抗予選へ

独特の緊張感に包まれる都市対抗の東海地区予選。

並大抵のルーキーであれば呑まれてしまいそうな舞台ですが、この若き右腕に気負いは微塵もありません。

「ちょっと違う雰囲気になると思いますが、心構えをしっかり持って、自信を持って投げられるように準備したい」

科学を味方につけ、心技体ともにスケールアップを果たした高尾響。

トヨタ自動車を再びドームへと導くため、若き爆撃機が岡崎のマウンドに上がります。

【編集後記:『緊張をコントロールする』という異次元の才能、高尾響の第二章】

広陵高校時代、1年生から神宮や甲子園でその冷静沈着なマウンド捌きを見てきましたが、社会人2年目でまさか「わざと緊張させる」という領域に達しているとは、ただただ脱帽です。

血液検査でアドレナリンの放出量を調べ、それを元に「ピンチを妄想して血糖値を上げる」などという調整は、プロのトップアスリートでもなかなか耳にしません。

それを弱冠20歳の高尾投手が自ら実践しているあたり、やはり野球IQの高さ、そして投手としての天賦の才を感じずにはいられません。

肉体面でも、単に大きくするのではなく、自分の感覚(キレ)を最優先して体脂肪だけを落とし、150キロの大台に乗せてくるあたりが非常にクレバーです。

トヨタ自動車という、社会人野球界でも最高峰の環境と一流の先輩たちに揉まれたことで、彼の持っていたポテンシャルがより洗練された「勝てる投手」のカタチへと昇華しています。

東海地区予選は、ご存知の通り一球のミスが命取りになる地獄のトーナメントです。

しかし、この高尾投手のような「隙を見せない」若い力が後ろに控えている(あるいは先発に回る)というのは、チームにとってこれ以上ない強み。

初の都市対抗予選という魔物が棲む舞台で、泰然自若の20歳がどんなピッチングを見せてくれるのか、虎渓三笑TVでもその一球一球を大注目で追いかけていきます!

kokeisansyo-tv

がんちゃん(YouTuber + 会社員 + 経営者) 球歴は小学校の軟式野球部のみ。補欠だったためスコアラーを務める。 「スコアブックの書き方」をYouTubeに投稿し、現在の虎渓三笑TVが出来上がる。 元阪神タイガース三宅チーフスコアラーが心の師匠。 1990年代 ID野球を掲げた野村監督率いるヤクルト戦を中心に、年間40試合前後 甲子園球場で阪神を観戦。 現在でも球場入りすると風向き・天候・グラウンド状態の確認から行う。

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