聖地に帰ってきた広島の伝統校・崇徳。
33年ぶりのセンバツ。 そのマウンドに立っていたのは、昨秋の中国大会で「4完投3完封」という圧巻の投球を見せた絶対的エース、徳丸凜空投手でした。
結果は延長10回、13-4。
数字だけを見れば大敗かもしれません。
しかし、そこには一人の左腕が背負った、あまりにも重く、そして気高い166球の物語がありました。
■ 序盤の主導権、そして「魔の8回」
試合は崇徳が序盤に4点をリードする理想的な展開。
徳丸投手も低めに集める丁寧な投球で、強力な八戸学院光星打線を封じ込めていました。
しかし、甲子園には魔物が棲んでいました。
7回までに追いつかれると、8回。
光星の1番・菅沼選手に投じた渾身の一球が、勝ち越しの2ランとなってレフトスタンドへ。
普通ならここで心が折れてもおかしくない場面。
しかし、徳丸投手と崇徳ナインは粘りました。
その裏にすぐさま追いつき、試合を延長タイブレークへと持ち込んだのです。
■ 166球の果てに。力尽きたエース
延長10回、無死一、二塁から始まるタイブレーク。
すでに球数は150球を超えていました。
指にかかるボール、踏み出す足の力。
限界はとうに超えていたはずです。
八戸学院光星の猛打に捕まり、一挙9失点。
徳丸投手がマウンドを降りた瞬間、1976年の「初出場・初優勝」の再現を夢見た崇徳の春は終わりました。
9回2/3を投げて13失点、166球。
この過酷な数字は、彼がどれほどまでにチームから信頼され、どれほどまでに一人でその期待を背負いきろうとしたかの証でもあります。
■ この悔しさは「夏」へのプロローグ
試合後、徳丸投手の目に宿っていたのは、失点の多さへの後悔ではなく、投げきれなかった悔しさだったのではないでしょうか。
33年ぶりに甲子園に響いた崇徳の校歌、そして徳丸投手の熱投。
広島の高校野球ファン、そして全国の野球ファンに「古豪・崇徳ここにあり」を強烈に印象づけました。
一人のエースがこれほどまでに投げ抜いた経験は、必ず夏に繋がります。
徳丸君、君の166球は、間違いなく今大会で最も輝いた熱投の一つでした。
胸を張って広島へ帰ってください。
そして、一回り大きくなって、また聖地のマウンドに帰ってくるのを待っています!
【編集後記】
166球……。
今の投球数制限がある中で、ギリギリまで投げ抜いた徳丸君の精神力には脱帽です。
八戸学院光星の打線も実に見事でしたが、最後まで逃げずに立ち向かった徳丸君の左腕に、心からの拍手を送りたいと思います。
皆さんは、この延長タイブレークの激闘、どこが勝負の分かれ目だったと感じましたか?





