日本選手権プレーバック準々決勝 4―2Honda鈴鹿 ヤマハ・舟久保秀稔 2球での初回先制劇

社会人野球日本選手権 準々決勝   ヤマハ4―2Honda鈴鹿 ( 2025年11月10日    京セラD )

プレーボールから、わずか2球。ヤマハの鮮やかすぎる先制攻撃だった。初回先頭の矢幡勇人が、初球の変化球を左中間二塁打。続く2番・舟久保秀稔も初球の内寄り直球を痛烈にはじき返すと、矢幡が悠々と生還して先制点を挙げた。

 「矢幡さんが変化球を打ってくれたんで、次は真っすぐが来るだろう、と。真っすぐが来れば絶対に初球から打つつもりでした」

 無死二塁という場面だったが、舟久保の頭に進塁打を打つという選択肢はなかった。根底にあったのは、後続を打つ仲間への分厚い信頼感。ヒットを打つことに集中した打席だったと振り返る。

 「矢幡さんの足も速いですし、無理をして1死三塁をつくるという意識は持たなかったです。仮に僕が凡退しても得点圏であることは変わらない。後ろに良いバッターが何人も続いていましたし」

 思惑通り、ライナー性の打球は左中間で弾む。中堅方向へ走った左翼手がツーバウンドで捕球。カットマンの遊撃手に素早く送球した。流れるように二塁へ転送されたが、舟久保のスライディングが一瞬早く、セーフ。50メートル走5秒9という俊足もさることながら、見逃せないのは磨き上げてきた走塁技術の高さだった。

 「足も武器にしている中で、走塁コーチの矢幡さん、一塁コーチをしていた野沢さんにはいろいろと相談してきました。去年の後半からはより深く聞いたり、教わったりするようになって、ベースの回り方、状況判断を磨いてきました。もうすぐ1年がたつという積み重ねの中で、技術的、判断力も良くなってきたのかなと思います」

 走り出しから二塁を狙っていた。通常のオーバーランではなく、一塁ベースの側面を左足で蹴る。左翼手の動きも視界に捉える中、一塁ベースコーチの野沢洸からも「二塁いけ、狙え!」という声が飛んだ。とはいえ、決してギャンブルではない。舟久保には相手の守備陣を上回れる確かな根拠があった。

 「自分も外野なので分かるんですが、ああいう形で一塁ベースを踏めば、“間に合わないかも知れない”というリスクのある中で外野から二塁へダイレクト送球する可能性は低いと思います。仮に送球が逸れてしまうと、さらに進塁を許してしまうことになりますので…。となれば、カットに投げる。そうすることで、さらにワンテンポ遅れて、セーフになる確率も高くなりますから」

 再び無死二塁をつくったことで、続く相羽寛太の右前打により舟久保が2点目のホームを踏んだ。序盤から主導権を握ることに成功して、Honda鈴鹿に4―2で勝利。舟久保の「打」と「走」が、大きくモノを言った一戦だった。 

スポニチアネックス取材班

kokeisansyo-tv

がんちゃん(YouTuber + 会社員 + 経営者) 球歴は小学校の軟式野球部のみ。補欠だったためスコアラーを務める。 「スコアブックの書き方」をYouTubeに投稿し、現在の虎渓三笑TVが出来上がる。 元阪神タイガース三宅チーフスコアラーが心の師匠。 1990年代 ID野球を掲げた野村監督率いるヤクルト戦を中心に、年間40試合前後 甲子園球場で阪神を観戦。 現在でも球場入りすると風向き・天候・グラウンド状態の確認から行う。

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