社会人野球日本選手権 1回戦 ヤマハ11―1西部ガス ( 2025年11月6日 京セラD )
左の強打者として真骨頂を発揮した。5―1で迎えた6回1死満塁。ヤマハ・森川凌が2ストライクからの4球目を捉えると、左中間フェンスを直撃する3点二塁打となった。
「クリーンアップの仕事は打点をつけることですし、追い込まれながら左中間にあそこまで飛ばせたのは良かった。3球目まではインコースを続けられて引っ張る意識になっていた部分があったのですが、ベンチから嶋岡コーチが“左中間を意識”という合図を送ってくださったので、修正することができた。嶋岡コーチに感謝したいと思います」
初戦から快音を響かせた。2回の第1打席で右前打を放つと、5回の第3打席では右翼線への痛烈な二塁打。6回の適時打を含む3安打は、自身にとって初の全国大会となった今夏の都市対抗での経験を生かした。
「都市対抗の初戦はすごく緊張しましたが、東京ドームという舞台で4試合を経験させてもらっていたことで、全国の雰囲気を知ることができた。それがあったからこそ、難しい初戦にうまく入っていけたと思います」
神戸国際大付(兵庫)、神戸学院大を経て今季が入社1年目。強力打線のヤマハにあって、持ち前の長打力と勝負強さが認められ、春先から4番を任された。今秋の日本選手権では全試合で5番に固定されると、打率・316をマークして優勝に貢献。与えられた役割を果たしたが、飽くなき向上心を抱く23歳に満足の2文字はない。
「都市対抗では打率が低かったですし、日本選手権の決勝でも8回のチャンスでもレフトへの良い当たりが捕られてしまった。来年はそこで野手の頭上を越えるような打球を打てるように、冬の間は筋肉量を増やすような体づくりと、もう一度、技術を磨いていきたいと思います」
森川の打撃を形づくる上で、欠かせないルーティンがある。5月頃から主将の大本拓海から声をかけられ、正面からのトスを打ち返す「フロントティー」を始めた。インサイドアウトのスイング軌道で中堅から逆方向への打球を徹底。そこでつかんだ感覚を、フリー打撃に持ち込むことを意識した。「その練習をやったからこそ、逆方向へ長打を打てるバッティングにつながったと思います」。良き先輩、良き指導者に囲まれながら、2年目の来季はまだまだ打ち続ける。








